くすりの株ノート

大手製薬3社の配当性向比較:武田薬品・アステラス製薬・第一三共(2026年3月期)

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武田薬品・アステラス製薬・第一三共の配当性向を比較しました。武田が最も高く204.1%、第一三共が最も低く50.1%でした。3社とも株主還元に積極的ですが、利益と配当のバランスには大きな差があり、各社の事業戦略の違いが背景にあります。


財務データ比較(2026年3月期・第3四半期修正業績予想ベース)

項目武田薬品(4502)アステラス製薬(4503)第一三共(4568)
対象期2026年3月期(2025年度)2026年3月期2026年3月期(2025年度)
年間配当(予想)200円(中間100円+期末100円)78円(中間39円+期末39円)78円(中間39円+期末39円)
EPS・基本的1株当たり当期利益(予想)98円(IFRS基準)139.58円(IFRS基準)155.59円(IFRS基準)
配当性向(運営者算出値)204.1%(200÷98×100)※自社公表値なし55.9%(78÷139.58×100)※自社公表値なし50.1%(78÷155.59×100)※自社公表値なし
予想の時点第3Q修正業績予想(2026年1月29日公表)第3Q修正業績予想(2026年2月4日公表)第3Q時点・修正なし(2026年1月30日公表)
一次情報(IR)武田Q3決算株主還元アステラスQ3決算第一三共Q3決算

※配当性向の計算式:年間配当 ÷ EPS(1株あたり利益)× 100
※上記データは各社IR開示資料をもとに運営者が整理したものです。最新情報は各社IRページでご確認ください。


薬剤師×医療法人事務長から見た3社

私が現場で感じるのは、3社の薬は本当に処方箋の「常連」だということです。調剤薬局のカウンターに立っていた頃、武田のタケキャブ(胃酸を強力に抑える薬)やアジルバ(血圧を下げる薬)は、一日に何十枚と顔を合わせる定番でした。アステラスのベタニス(過活動膀胱の薬、トイレが近い方の心強い味方)やハルナール(前立腺肥大症の薬)は、午前中の高齢患者さんの処方箋にお決まりのように並びます。第一三共のリクシアナ(血を固まりにくくする薬、DOAC〔直接経口抗凝固薬〕の一種)とメマリー(認知症の進行を抑える薬)は、ここ数年で処方量がぐっと伸びた印象があります。

薬価改定の影響は、正直に言ってじわじわ効きます。2021年に「2年に1度」から「毎年改定」に切り替わってから、毎年4月の景色がガラリと変わるようになりました。同じ枚数の処方箋を扱っても、点数の下がり方で月の売上が読みにくくなる感覚は、現場に立っていないと伝わりにくいかもしれません。

事務長になった今は歯科なので薬剤費比率はそれほど高くないのですが、調剤薬局時代、医薬品の仕入れは売上原価の中核でした。在庫が多すぎれば期限切れで損、少なすぎれば欠品で患者さんを逃す。薬を「商品」として見る視点は、いまの経費管理にもしっかり活きています。


配当性向の読み方(FP2級・一般的解説)

配当性向は、会社が稼いだ利益のうち何%を株主への配当に回したかを示す指標です。計算式はシンプルで、「年間配当 ÷ 1株あたり利益(EPS:Earnings Per Share、1株が1年でいくら稼いだかを示す数字)× 100」で求められます。

100%を超えると「利益以上に配ってる、これは大丈夫?」と感じがちですが、過去の蓄え(内部留保:会社が貯めてきた利益の残り)を取り崩していたり、一時的な要因があったりするケースも珍しくありません。逆に低すぎる場合も、必ずしも株主還元に消極的とは限らず、新薬開発や買収にお金を振り向けている可能性が考えられます。

製薬業界には特有の事情があります。新薬を1つ世に出すまでに、10年以上の時間と1000億円規模のR&D(研究開発:新薬の種を育てる投資)費用がかかるとされます。配当性向だけを見て他業界と単純比較するのは少し乱暴かもしれません。各社のR&D戦略や特許切れのタイミングと合わせて読むと、同じ数字でも違う景色が見えてきます。


出典・参考情報


本記事のデータは各社IR開示資料をもとに運営者(薬剤師・FP2級)が手集計・算出したものです。情報の正確性・完全性を保証するものではなく、最新情報は各社の公式IRページでご確認ください。

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